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ベルギーのまとまらない話(10)「個人主義と孤独⑤ ~友情が続かない~」

 ベルまと(9)「個人主義と孤独④」の続きです。   こちらに住んで20年になりますが、 ベルギー人とは友達になるのが難しい、そして友情を続けるのも難しい! と常々感じているんです、実は。😕   こちらに来て間もないころ、 以前オランダに住んでいてベルギーに越してきたという日本人女性が、「オランダでは友達が沢山できて今も友情が続いているけれど、ベルギーではなかなか友達が出来ない!」と嘆いていました。   数年後、私も「その通り!」と実感。  そして私がそのことを言うと、こちらに住む日本人も、他の様々な国から移住してきた人たちも、 友達メチャクチャ多そうな、超明るく社交的なルアンダ人の同僚でさえ、 「その通りーっ!!!」、という反応です!😮   そして、ベルギー人でもそう思っている人が結構いたりするので、「よそ者だから」ということではないようです。   うちの夫や、周りを見ても、 友人関係を続けるには、お互いの誕生日に食事会するとか、夏にはバーベキューするとか、何か決まった約束で定期的に会うことが「必須」のような。   因みにいつも不思議に思うのは、ヨーロッパは個人主義なのに、友達付き合いは基本的に夫婦(パートナー)同伴。「個を主張するベルガエ族!」の末裔ベルギー人もしかり。 なので、お互いのパートナー同士も含めて気が(話題が)合わないと、結局その友人とも会いづらくなっていきます。   で、しばらく会わないでいたり、連絡を取らないでいると、友情は すぐ、 消えちゃうんです!😣 その一方で、 日本人の友達とは、たとえ何年も会わなくても連絡し合わなくても、フト何かをきっかけにまた交流が再開したり。 そういうスタンスで、こちらに移住してからも多くの友人関係が、今もしっかり続いています。😊   「会わなくても心は繋がっている」 「一度育んだ友情は、簡単には消えない」   そんな共通認識・暗黙の了解が、日本人同士にはあるのかもしれません。👍 他の国の人たちも、個人主義の西洋人にも、大なり小なりあるんだと思います。   これが恐らく、ベルギー人には、 ない! あるいは、極端に少ない!   いつの世も不安定極まりなく、変化に次ぐ変化だったこの地方の歴史が、人と人との関係性の安定にも影を落としているのでしょうか?  心の繋がりの信頼欠如にさえ至っているのだとしたら?   だ

ベルギーのまとまらない話(9)「個人主義と孤独④ ~会わずにはいられない?~」

 ベルまと(8)「個人主義と孤独③」のつづきです。   2度目のクラスターから、一週間がたちました。   前回は陰性だった患者さんと職員全員に、一昨日と昨日にかけて2度目のテストが行われ、 新たに3人の患者さん(合計8人)と2人の職員に感染が確認されました。😣 今回私は2度のテストとも陰性でした。💦 職員の感染が前回のクラスターよりグッと少ないのは、使用しているマスクが普通の医療用マスクからffp2マスクに切り替えられたから、😷 また、ちょうどワクチン接種一回目が前後して行われたので、その影響もあるのでは、と思われています。   先週のテストでは職員全員が陰性だったため、今回のクラスターも職員が感染源ではないことは、既に明らかでした。   また今回は、イギリスと南アフリカ変異種、普通種、三種類の感染が見られており、看護師長や同僚たちの多くは、患者さん達が感染源だと考えています。 なので、入院直前だけでなく、潜伏期間が過ぎたころにもう一度テストをするべきだ、と言い合っています。 それも本当にその通りです。が、 これも大いにあり得るはずであろう「面会者感染源説」は、彼らの間からは決して出てこない。絶対にと言っていいほど話題にされないままです。   昨日の私は、もう持論をまくしたてようとは思わず、 不可解な彼らに対する見方を、変え始めていました。   一概にこちらの人たちは、親しい人たちと会えないことを、日本人以上に辛いと思うようだということは以前から感じていたんです。   例えばこちらで「私の母は日本に住んでいる」と言うと、 「 よくそんなことできるね!」なんて言う人も結構いて、はじめは「親不孝者と言いたいんか?」と身構えてしまいましたが、 「お母さんに極たまにしか会えないんでしょ? 私なら絶対耐えられない! !」。 日本では「亭主元気で留守がいい」なんて言うけれど、こちらでは仕事が忙しくあまり家にいないと言うことは、離婚原因になりがちです。 出張とかわずかの期間でも留守にするというと、「寂しい寂しい!」。 一人息子が結婚して外国(ヨーロッパ圏内)に引っ越すことになったら、母親は鬱気味になり仕事を一か月欠勤。同僚たちは「分かる分かる」と。(うちの職場であった例です) 普通でもそんな感じなので、ましてや病気で入院中ともなると、家族や親しい人と会えないというのは「地獄

ベルギーのまとまらない話(8)「個人主義と孤独③ ~不可解さの裏には?~」

ベルまと(7)「個人主義と孤独②」のつづきです。   昨年9月にグループホームに引っ越しました日本に住む私の母は、 コロナ対策で、当初からずっと外出も訪問客もNGです。何が一番大事かを考えれば当然、と私も思います。   が、こちらでは、 コロナ状況日本と比較にならないほど悪いのに、病棟にコロナ患者さんがいない限りは面会者を受け入れようとするんですね! 既にお話ししていることの繰り返しで恐縮ですが。💦 ベルギーの他の病院や施設については多少の違いがあるようですが、少なくともうちの病院のうちの科は、そうなのです。   さすがに制限は設けられました。 面会時間は大幅に短縮され予約制となり、面会者は一人に絞られ、面会者と患者さんの間には透明プラスチックの仕切りが。そして面会が終わる度に消毒です。   昨年12月、何と!、面会を管理するための職員まで増員されました!😲 ここ10年ほど病院の人員削減がずーーーっと続いてきたのに、面会のためなら増員する?!😨 それを聞いたとき、「以心伝心」同じ思いで思わず顔を見合わせた同僚は、・・・そう、移民系の人でしたね。 そして、うちの科に配属された増員職員Eさん。 これまで前例のない職種なので戸惑いも多いようです。面会者からも「ここは刑務所ですか?!」と文句を言われたり。💦 もちろん刑務所じゃありませんから、Eさんも面会中その場で見張るわけではありません。 が、たまたま用があってその場に戻ると、面会者と患者さんが禁止されていること(マスクを外したり、飲食を共にしたリ、身体接触をしたリ)をしている場を何度か目撃したとのこと! それを看護師長に伝えているそうですが、特に何の処置も取られていない?ようなのです。 また、場合によっては予約なしで面会が許されたり、 4人も5人も一斉面会が許可されたり! 「場合によって」の基準も❔❔で、Eさんも、このやり方には大いに疑問を感じる、とこぼしてます。因みに彼女も移民系。   我々移民系職員の面会を疑問視する声は、多数派を占める生粋ベルギー人職員と上層部の「うーん」にかき消されている、といったところでしょうか。大ざっぱにいうと。 ただ一人だけ、 最近うちの科に来た新規職員・作業療法士のUさんは、生粋ベルギー人ですが、私の考えに大賛成してくれました! Uさんは、うちの病院に来る前は老人ホームに勤務されて

ベルギーのまとまらない話(7)「個人主義と孤独② ~またクラスター!!!~」

ベルまと(6)「個人主義と孤独①」のつづきです。   前回お話ししましたように、勤務先の病院で、先週から看護職員の1回目コロナワクチン接種💉が始まりました。   うちの科の職員は一昨日接種を受けまして、 私はちょっと腕が痛いくらいで済みましたが、同僚の多くは頭痛、吐き気、目眩などの症状を訴え、1人は何と気を失い救急に運ばれるほど! 😱 幸い彼女は数時間後に具合が良くなり、帰宅できましたが。💦   ワクチン接種とクラスター発生をほぼ同時に迎えたうちの科は、大混乱の先週でした。😵 さて、ここでベルギーの感染状況についてちょっとお伝えしますと、 去年10月は新感染者一日2万人を超え、当時ヨーロッパで最悪となり、 11月から2度目のロックダウン、11月末には一日約2千人までに下がりました。   が、その後2月下旬の今に至るまで3か月間、一日平均感染者数は全く横ばい状態で、ずっと2千人前後が続いているのです!   人口がベルギーの10倍以上である日本は、お正月の後6千(7千でしたか?)人を超え、 その後すぐに下がって、今は一日1200人くらいですよね。   ベルギーは目下、日本の20倍くらい酷い、ということですね。   そういう状態がずっと続いている中で、病院の、老人科、 病人であり高齢者である、最もウイルスから守るべき人々が集まる場所に、  多少の制限付きとはいえ、どうして面会を許すのか? 外部の人を入れるのか???   私には本当に理解できんのです、しつこいようですが。   ベルギー人の同僚たちはといえば、 「またクラスター!!! もうウンザリ!!!」 「職員はみんな陰性なのに、何で起こるの?! おかしいよね?!」   まっちーこ苛立ち極まって、「だからさ! 面会者が原因の可能性大でしょっ、つーの!!!」。   ・・・すると忽ち火が消えたようになって、 「うーん・・・」 更には、いきなり話題を変える同僚までいたりして!😨   はてさて、この「面会」「お見舞い」というのは、ベルギーでは犯してはならない聖域なんでしょうか??   と皮肉のひとつも言いたくなる一方で、前回も記事の最後でも触れましたように、   日本人である私にはずっと謎であったベルギー人の性質や行動の数々、バラバラのパズルのように散らばっていたそれらが、   ここへ来て一つにまとまり始め、その背景が見

ベルギーのまとまらない話(6)「個人主義と孤独① ~またクラスター!!!~」

職場の病院で、我々看護職員は、今週ファイザーのコロナワクチン摂取一回目を受けることになりました!   うちの老人科職員は、明日の木曜日に受けることに決まった、ちょうどその矢先。昨日の事です。   なんと、患者さん達に再びクラスターが発生!!!😵💦   そして今日、うちの科の職員全員がコロナテストを受けまして、ドキドキハラハラの結果、今回は全員陰性であることが分かり、ホーーーッ!😅   明日のコロナワクチン接種は、変更なく実施されることになりました。 💉     ・・・で、覚醒体験後「コロナの巻シリーズ」でもお話ししたことなのですが、 いつも私が理解できないのは、病院側は出来るだけ面会を受け入れようとすることなんです。ロックダウン中なのに、ですよ?   クラスターが発生した直後はさすがに面会禁止措置をとりますが、その後ちょっと状況改善するとすぐにまた規制を緩め、制限付きとはいえ面会を受け入れます。   その結果がこれ。またクラスター。お見舞客が原因とは言い切れませんが、可能性は充分。 覚醒体験後(12)「コロナの巻④」で触れましたように、 https://yorochumacchi-ko.blogspot.com/2020/12/12.html   「面会禁止」を私は職場で主張するわけです。「何が今一番大事なのよ?」と。同意してくれるのは殆どが移民系の同僚たち。暖簾に腕押しの反応を示すのが、生粋ベルギー人の同僚たち。今回もまた同じ。   面白いですよね? なので、これはベルギー人特有の「全体のために個を犠牲にしないメンタリティー」と関係があるのかと考えたわけですが、   どうもそれだけではないような。   ベルギー人の、影のある横顔が、ふと見え隠れするような気がしてきたのでした。  つづく

ベルギーのイケてる話(8)「オラが村アントワープ!③」

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 ベルギーのイケてる話(7)「オラが村アントワープ!②」のつづきです。   前回の「ヤギのパレード」で、〆に登場したのが、この方! ↓     アントワープの伝説の巨人、ランゲ・ワッペル!   ランゲは「長い」「背が高い」という意味で、ワッペルが名前、「ノッポのワッペル」です。   彼はいったい何者か、と言いますと、   元は小男だけど自由自在に大きくなれるそうで、通りでいきなり巨人になって人々を仰天させる、   いたずら大好きメーワク男!😬😵😰   が、実は街のゴロツキ、酔っ払い、悪ガキたちを、脅かせ諫めたりもしていた、とか。😲   何故かマリア様の銅像が大の苦手で、 街中で見かけるマリア像に耐えられず、アントワープを流れるスヘルデ川のほとりにひっそりと住んでいた、と言う逸話も。   ヒーローでも何でもない、ただの変な人ですね。😐   なのに、アントワープ中心街のステーン城の前には彼の立派な銅像があり、「ヤギのパレード」のみならず大きなお祭りには、ランゲ・ワッペル張りぼて巨人がたびたび登場します。   その人気の秘密はなに?? と長いこと不思議に思っていたのですが、ある時ふと閃きが! 💡   小さな都市なのに、「アントワープこそ『 ザ ・シティ』!!」と、自分たちをやたらと大きく見せて喜ぶアントワープ人!   愛すべき変わり者ランゲ・ワッペルは、アントワープ人そのもの、誇りにさえ思う「象徴」なのかも!、と。     ランゲ・ワッペルの銅像 職場のチームビルディングで同僚たちと共に こちらでは誰もが知っている、コッテコテ!アントワープ弁による「ランゲ・ワッペルの歌」があります。それによると、   ワッペルは、中心街に自分の銅像が建てられたことを甚だ理不尽に思っており、   「俺はお墨付きのワルや! 銅像建ててどないすんねん?! ことの良し悪しも分からへんのかアントワープ人はっ!」と大憤慨!😠💢   (注・東京人による「なんちゃって大阪弁」訳でございます。m(__)m )   「こうなったらもう容赦せんわ! イタズラしまくりメーワクかけまくったるでー!!!」と大宣言する歌なのです!💦   いやー、つくづく変なオトコ!😅   そして、ヘンな人たち! ヘンな街!!😆   居心地ええなあ、アントワープ!! 👍        

ベルギーのイケてる話(7)「オラが村アントワープ!②」

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 ベルイケ(7)「オラが村アントワープ①」のつづきです。   のどかなウィルレイクも、ここ数年急激にアパート(日本でいうマンションでしょうか)建設が増え、野原や林が激減中です。   「一体どこからこんなに沢山の人が移り住んでくるのだろう?」と、散歩中に夫と二人で言い合って、ふと思いついたのが、「あっ! 団塊の世代が、家を売ってアパートに引っ越しているからだよ!」。 ベルギー人も高齢になってくると、家のリフォーム三昧もやりつくし、家・庭の手入れや階段昇降もきつくなり、アパートに引っ越す人が大変多いのです。 そして今、団塊の世代・ベビーブーマーがその「人生ステージ」に来ている、と言う訳で、当然アパートが足りなくなりますね。   自然が減っていくのはとても残念です😕、が、 我が町ウィルレイクには、まだまだ取って置きの、奥の手の、魅力があるのです!😤   それは、GEITESTOET(ヤギのパレード)!!  🐐 🐐 🐐 🐐 🐐 🐐    ウィルレイクは、昔ヤギの牧畜が盛んだったため、「Geiten dorp(ヤギの村)」と呼ばれていました。    この町で5年に一度行われる大きな祭典が、「ヤギのパレード」。昔の装束に身を包んだ地域の人たちが、ヤギたちと一緒に町中を練り歩きます。   1965年、ウィルレイク誕生1200年を記念したお祭りでこのパレードが行われ、あまりの評判の良さに5年ごとに開催されることになりました。演出家が付き、毎回趣向を変えています。 このパレードには物語性があり、ローマ時代まで遡る町の歴史、魔女狩りの時代なども経て、移り変わる人々の暮らしぶりと風俗を見事にユーモラスに再現しているのです。       ローマ軍     ローマ皇帝     パレードの参加者の中にはプロの俳優顔負けに観衆を沸かせる人たちもおり、町中がオープンシアターになったかのよう。     罪人      魔女裁判   昔の馬車トラム    昔のカフェ     日本でいうところの「ラッパを吹くお豆腐屋さん」 のような、今ではもう全く見かけない昔の物売りなども登場し、年配の見物客が目を輝かせてお孫さんに説明している光景も見られます。    金物売りと毛皮売り   そしてこの「ヤギのパレード」という名称。主役はヤギで人々は脇役であるかのような視点が楽しいですね! 沢山の恩恵