ふしぎ体験(3)「ノルマンディーにて③」
ふしぎ体験(2)「ノルマンディーにて②」のつづきです。
霊は恐縮した様子で、ついに話を始めてくれました。
「私は、あなたが今日ご覧になり気に留めてくださったお墓の主、"A SOLDIER" です。
あなたが御想像なさった通り、家族の愛に恵まれず、恋愛にも失望。そんなときに、当時のヨーロッパの脅威だったドイツを抑え込むことに人生の目的を見い出しました。私は脇目も振らずに進み、上陸作戦に参加しました。
そして、遂にドイツの衰退が見え隠れし始めたころです。
何故か、私は困惑し始めました。私の「目的」が果たされたら、その後どう生きて行くのだろう?と。
そんな折、ドイツ軍がつまらないミスをおかしました。それは我々にとっては全く喜ばしいことだったのですが、私はと言えば、足元が救われたような衝撃を受けたのです。
そのミスとは、かつて私がおかした馬鹿げたミスとそっくりで、そのとき私は、相手が同じ人間であること、自分が自分と戦っている!という奇妙な感覚に襲われました。それまでは先頭を切るほどだった私が、その感覚から抜け出せず前に進めなくなってしまったのです。
そこで私の人生は終わりました。そして死の瞬間に、まるで予期していなかった、想像を絶する至福が訪れました!
「自分が自分と戦っている」それは錯覚ではなく、真実です。それを体感できたのは、全宇宙の祝福に値する素晴らしいことですよ。
という、光のメッセージを得たのです!
・・・まっちーこさん、あなたは「私は目的に突っ走るタイプだったけど、それを見直し始めました。旅の目的は旅そのもの、人生の目的は人生そのもの。そういう気持ちで、今回の旅行に行ってきます」と、お友達に書かれていましたね。同感です。
私はずっとあなたを待っていました。Wさん(夫)も私の言うことを感じ取って、あなたをここまで連れてきてくださいました。残念ながら彼は私の存在を信じないので、あなたとだけお話しさせていただきます。彼をのけ者にしているようで、心苦しいのですが。
私はあなたの事も彼の事も、良く知っていますよ。 Wさんと仲良く、これからも楽しい人生を送ってくださいね。聞いてくださってありがとう!」
霊が立ち去ろうとしているのが分かりました。
「あ、待ってください、A SOLDIERさん! あなたのお名前は?」
「ジェームスです」
「ジェームスさん。・・・またお会いしましょう!」
ドアのところで振り返った彼は、パッとその存在を輝かせ、
「もちろんです!」
と言って去っていきました。
つづく
アロマンシェのホテル。一泊したのは左側、木の向こうに見える棟2階の部屋でした。
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