ふしぎ体験(6)「ノルマンディーにて⑥」
ふしぎ体験(5)「ノルマンディーにて⑤」のつづきです。
魂の存在そのものが、愛。
どんな存在も特別ではないのです。そして、だから美しいのです。
これらは、それまでの私には、全くなかった発想でした。
翌日。
ベルギーに戻る前に、海岸に沿って、同じく上陸作戦の舞台となったオマハビーチとユタビーチの間にある、オック岬に行きました。
そこにはドイツ軍の基地があったそうで、連合軍の爆撃に遭い巨大な穴が地面のあちこちに、今もそのまま残っています。穴の間を歩き、辺りにころがっている基地の残骸を見ながら、当時の様子を思い浮かべました。
「敵、って何なんでしょうね?」
昨夜会ったジェームスさんが、また話しかけてきたようでした。
殺風景としか言いようのない岬に、ふと薄紫色の一輪の花を見つけました。直径3センチほど、5つの花びらを思い切り広げている見たことのない花が、ひとつだけぽつんと咲いている。
「お母さんに、あげてください」
ジェームスさんがそう言ったような気がしたので、花を摘んで、押し花にして持ち帰りました。
母には電話やメールでジェームスさんの話をしました。母は大変興味を持って聞いてくれました。
母以外にも、機会があるごとに、多くの人にこの話をしました。
夫にはしていません。😅 ジェームスさんの言う通り、彼はこの手の話は信じないし受け付けないのです。が、本人に自覚はなくともジェームスさんの言うことを感じ取って行動した、ということですから、それで良いのだろうと思っています。
押し花は、数か月後にベルギーに遊びに来た母に、直接手渡しました。
「ジェームスさんから」と言って渡したとき、母がちょっと怪訝な顔をしたような気がしました。興味を持ってくれたとはいえ、霊からのプレゼントなんてやっぱり気持ち悪い、と思ったかな? ジェームスさん、がっかりしたかな?
「魂の存在そのものが、愛」
「どんな存在も特別ではない。そして、だから美しい」
彼から教わったこの二つの事は、その後もふと思い出しては、味わい咀嚼しました。
が、普段の生活では、ジェームスさんのことをすっかり忘れていることがほとんどでした。
つづく
オック岬
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